胃腸疾患における最近の話題
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内視鏡検査
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 ヘリパクターピロリ
 胃がん
 胃食道逆流症
 食道がん
 胃ポリープ
 胃粘膜下腫瘍
 慢性胃炎   
 特殊な胃炎: 自己免疫性胃炎
ヘリパクターピロリ
約3μmのらせん状の細菌で、
胃の粘膜に入りこんで炎症を起こします。
慢性胃炎、胃十二指腸潰瘍、リンパ腫を起こすとされています。
日本人は40歳以上では70〜80%の人がピロリ菌に感染しています。
感染経路ははっきりしませんが、
免疫能力が不完全な幼少期に経口的に感染したと考えられています。
ピロリ菌に感染しているかどうかを調べるには、
内視鏡検査で細胞を採取して検査する方法と、吐き出された息より調べる方法、
尿や便、血液から調べる方法があります。
治療は除菌療法があります。これは2種類の抗生剤と酸を抑制する薬を1週間服用します。
この治療を薦めるのは、胃十二指腸潰瘍や、リンパ腫のある患者さん。 また、内視鏡にて慢性胃炎と診断された患者さんです。
胃がん胃がん
ヘリコバクター陽性の場合、胃がんリスクが高くなります。
従って、ヘリコバクター陽性と診断された場合は、念のために内視鏡検査を行いましょう。
胃がんは、早期の場合:がんの浸潤の深さが粘膜、粘膜下層までのもの:は、無症状の場合が多い。癌が進行すると、胃の重い感じ、つかえる感じ、胃痛。膨満感など出現します。
胃がんは、50歳以上に多く、男性に多い傾向にありますが、20〜30代は女性にもみられる場合があります、特に親が胃がんの場合、アルコール、喫煙者、ピロリ菌が陽性、除菌した患者さんは、定期的な内視鏡検査を勧めます。
癌が粘膜までの浸潤の場合は、リンパ節転移がなく、内視鏡治療の適応で、根治が可能です。
早期胃がんはポリープ状の隆起型より、、凹んだ、陥凹型が多い傾向にあります。
最近では、内視鏡検査に光の波長を制御することにより、粘膜の凸凹、粘膜内の血管を強調できるようになりました:狭帯域光観察:。この装置を使用し粘膜表面のパターンや、粘膜内の血管の口径不動、走行より、異常部分を明瞭かできるようになり、肉眼ではわからない早期癌が発見されるようになりました。

左は通常の画像 右は挟帯域光観察 拡大にて早期胃がん発見
i胃食道逆流症
食道と胃の間には弁状のものがあり、
胃酸や食べ物が食道内へ逆流しないような機構があります。
この仕組みに不具合がおこると、食道内に胃酸や食べ物が逆流します。
逆流すると、胸焼け、すっぱいものがこみ上げてくる、胸が痛い、のぞが詰まった感じがする、
夜咳き込むなどの症状がでます。酸などが逆流すると、食道に炎症を起こします。
食道の炎症が強い場合は潰瘍を形成し、その後狭窄などの合併症を起こすことがあります。
また逆流を繰り返していると、食道の粘膜である扁平上皮が、酸に強い円柱上皮に変化します。
この円柱上皮をバレット上皮と呼び、通常の扁平上皮より癌化しやすいため注意が必要です。
GARDの治療は、酸を抑制する薬、H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害剤を服用します。
この病気は、以前、日本では少なかったのですが、
食事、体型の欧米化により、現在増加傾向にあります。
上記のような症状が認められる人は、一度内視鏡検査を薦めます。
食道がん食道がん
食道がんは、50歳以上の男性に多く認められます。
症状は、つかえ館、 胸痛、胸部の違和感などがあります、食道は胃に比べると薄く、粘膜下層に発達したリンパ管網などあり、進行すると
早期にリンパ節転移をきたします。検診でのレントゲン検査では、早期の癌:粘膜までの癌:を見つけることが難しく、上記症状などがあった場合は内視鏡検査を勧めます。またタバコ喫煙者、アルコール飲酒者、特にお酒をの飲むと顔が赤くなる人、血液データーでMCVが高い人、食道がんの家族歴がある方、既往歴に咽頭喉頭がんがある方は積極的に内視鏡検査を行うようお勧めします。近年、狭帯域光観察により粘膜内、粘膜下層内の血管が観察できるようになりました、特に血管を拡大観察することにより、血管の太まり、走行異常、口径不動より異常血管を検出、早期の癌が発見できるようになりました。


左上は通常画像 右上が赤を強調とした光による像
左下が狭帯域光で腫瘍血管像が明瞭となる

胃ポリープ胃ポリープ

検診でよく指摘されるのが、胃ポリープです。レントゲン検査、内視鏡検査で隆起性病変として診断されます。症状は小さいものでは無症状のことが多く、検診で初めて指摘される場合がほとんどです。ポリープには、良性のポリープと悪性のポリープがあります。胃の大部分のポリープは良性ですが、悪性のポリープがあるため、、内視鏡検査を受けてください。また最近では、良性と診断されたポリープでもまれに悪性化する場合があるので、可能なら定期的に検査を受けてください。

黒丸印の粘膜に異型細胞があったポリープ 生検後良性と診断された。
胃粘膜下腫瘍胃粘膜下腫瘍

胃粘膜下腫瘍は、粘膜の下に存在する腫瘍のことです。ポリープと間違える場合がありますが、腫瘍の表面は正常粘膜に覆われています。
粘膜下の腫瘍のため、生検(組織検査)しても、腫瘍が取れず、診断には、超音波内視鏡検査が必要です。
超音波内視鏡検査とは、内視鏡と超音波が一体となった機械と、内視鏡の鉗子孔から細い超音波プローブを挿入して行う検査(生検する時使用する孔)です。腫瘍の超音波像から、大体の大きさ 腫瘍の超音波パターンから組織像の予想ができます。腫瘍の多くは、筋腫、脂肪種、迷入膵があり多くは良性ですが、GIST:gastrointestinal stromal tumorは悪性化することがあり、注意が必要です。大きさが10mm以下くらいで変わらないものは、ほとんどが経過観察でよいのですが。急激に増大する場合は、悪性化の可能性があるため、専門病院へ受診してください。


上段は粘膜下腫瘍の内視鏡写真 右が超音波内視鏡写真 内部エコーは均一
下段も粘膜下腫瘍の内視鏡写真 右2枚が超音波内視鏡写真 胃壁
の下にも腫瘍がありダンベル型です。内部は不均一であるため注意が必要です。
逆流性食道炎逆流性食道炎

胃食道逆流症に相当し、食道に炎症が生じたものを食道炎としています。症状は上記のようにすっぱいものがこみ上げてくる、みぞおちの痛み 物が詰まった感じがするなど様々な症状があります。
逆流するものによって、胃酸、胆汁酸などあります。
内視鏡で観察すると、食道と胃接合部にびらん:潰瘍より浅い: :粘膜障害があったり、発赤したりします。ほとんどの人が繰り返し起こしているため、粘膜が白濁したり、厚くなったりします。長期に繰り返すと
食道炎の症状がなくなる場合があります。すなわち、食道に異常が生じても、自覚しなくなるのです。このような状態になると、たとえば癌ができても、早期に自覚できず、強い狭窄や、深い潰瘍を形成して初めて異常に気が付くようになる場合もあります。食道粘膜を正常な状態に保ことは大変重要です.
夕食を早めに食べて、寝る前は食べない、満腹まで食べないなどの
生活習慣が重要です。食道炎と診断された人は、定期的に検査してください。



食道炎で経過観察 通常観察〔上段2つ】
狭帯域光観察で異常血管が観察でき、食道がんと診断できた。



バレット食道バレット食道
逆流性食道炎の際、認められる所見です。欧米諸国では、このバレット上皮に由来する食道がんが多く報告されています。
逆流により従来の食道粘膜:扁平上皮が酸、アルカリ(胆汁や膵液)により脱落し、その後、酸に強い腺 上皮に置き換わった粘膜、従来食道の構造のところに腺上皮があるものを、バレット上皮と言われています。この粘膜は通常の胃粘膜より癌化しやすいため注意が必要です。最近日本でも、逆流性食道炎が増加し、食道下端にわずかな腺上皮が発見される場合があります。
この上皮を、増やさないようにするには、逆流性食道炎と同様、夕食を食べてすぐに寝ないことです。バレット上皮が広い場合、凸凹している場合は要注意で、酸を抑制する薬PPI:プロトンポンプ阻害剤、H2受容体拮抗薬 などの薬を服用してください。


上段は通常の内視鏡でバレット上皮が確認できます。左は赤色の光
を強調したもので、下側が赤くなっています。
下段は血管を強調したもので、腫瘍血管が描出されています。


慢性胃炎慢性胃炎
胃炎が長期間、繰り返しおこることで、胃粘膜が変化してしまう状態です。多くの場合はヘリコバクターピロリ菌の感染が原因の可能性があります。症状としては胃痛、胃もたれ、膨満感などです。内視鏡でみると、発赤、びらんなどがみられる場合があり、炎症を繰り返すと、粘膜が薄くなります、ひどくなると消化能力も低下します。胃炎と診断された場合、ヘリコバクターピロリ菌が感染しているかの有無を検査してください。胃炎を繰り返すと、胃がんリスクが高くなるため、ピロリ菌が陽性な場合は除菌治療と定期的な検査が必要になります。

 
通常観察で萎縮と粘膜凹凸あり、狭帯域光でびらん状の粘膜あり
生検で異型細胞と診断された。





特殊な胃炎: 自己免疫性胃炎

抗胃壁細胞抗体により胃の壁細胞が破壊される結果おこる胃炎です。A型胃炎とも呼ばれています。胃体部を中心とする萎縮性胃炎です。胃体部の炎症により萎縮 胃酸量の低下が起こります。このため高ガストリン血症、ビタミンB12の吸収が不足します。これにより悪性貧血などが発生します。胃ポリープなども合併します。また胃がんが高率に合併することや、粘膜下腫瘍に発育する内分泌腫瘍も合併します。従って定期的な検査が必要です。








胃食道逆流症胃潰瘍                              


胃潰瘍は胃の粘膜が、粘膜下層:胃壁構造は胃の内腔に近いとこから、胃粘膜(胃液など産生する胃底腺、幽門腺などを含む構造
粘膜下層、筋層、漿膜から構成されています。潰瘍は胃酸などが粘膜を破壊し、粘膜下層以深まで及んだものです。症状としては、人の感受性によりますが、胃が炎症が少ない人ほど強く胃痛を感じます。
胃の重い感じ、存在感、吐き気などあります、深い潰瘍があっても、症状のない人もいます。浅いもの小さいものは、早く治りますが、深いものでは、酸を抑制する薬が必要です。また、出血などにより黒い便がでたり、貧血になることもあります。原因として、ヘリコバクター菌が最も考えられますが、痛み止めなどの薬、強いストレスでも発症します
上段は通常の内視鏡像 白苔部分あり
下段は狭帯域光で観察した像 異型な上皮が存在 胃がんと診断できる。



など
胃食道逆流症機能性デスペプシア                             

胃もたれ、食事を少し食べただけなのに満腹感で食べられなかったり、みぞおちの痛みなどの症状が続き、内視鏡検査しても異常なしと診断されるような器質的異常がないのに、慢性的な症状続く場合です。ストレスなどで胃の蠕動運動が異常になったり、消化能力が低下したり、胃液が増加した場合、知覚が過敏になったりした場合などに起こります。なるべく、ストレスを発散する方法を見つける、1っ回の食事量を少なくするなど、日常生活を規則的に暮らすなど工夫しても、良くならない場合は、消化器の専門医を受診しましょう。、







 生検診断の役割                            
内視鏡像のみの診断では、病変が悪性化かどうかの最終診断をすることが不可能です。従って、画像診断で悪性の可能性がある場合、組織検査をして、病理学的診断を行うのが生検診断です。病理検査とは、顕微鏡を使用して、細胞が悪性かどうか、炎症細胞浸潤の有無
線維化やどんな細胞があるか、さらに免疫染色など様々な方法を利用して診断する方法です。生検することによる不利益は、組織を傷つけてしまうため、人工的びらん、潰瘍を形成します。また出血の危険性もあります。一方で、小さい病変は、生検で取れてしまうことがあります。しかし悪性度の高いもの、大きい病変は残存している可能性があるため、悪性と診断された場合は必ず、再度検査し、適切な治療が必要です。
説明

左は赤を強調とした遠景からの画像
右は画像強調をし拡大した像、小さい白色調の病変があり生検で悪性が示唆されたが、生検後消失した。




胃食道逆流症胃痛                             
胃痛があると、胃が悪いのではと考える人が多いと思います。
しかし、胃痛の原因は色々あります。臍より上の胃痛であれば、臍より上の臓器:胃、その後ろにある膵臓、右側にある胆のう、肝臓、前側にある大腸:があります。さらに診断を難しくする、腹腔神経叢(腹腔内各臓器に枝分かれしている)は、胃の裏側の上部にあります。例えば右下にある虫垂に炎症があると、みぞおちが痛くなることがあります。また心筋梗塞の時もみぞおちが痛むことがあります。それではどのように診断していくかと申しますと、熱があるか 吐き気があるか下痢などの便通異常があるか、最近飲みすぎていないか、背中の方まで痛むか、また、お腹を触ってみて、何処のへんが痛むかなどから診断していきます。わからない場合はさらに色々な検査を追加します。一般に、痛みが強くなく、2,3日で忘れてしまう場合は大丈夫ですが、繰り返す場合、1週間2週間と続く場合は、病院へ行ってください。









アニサキス症                         
アニサキスは寄生虫の1種です。長さ2〜3mm 幅0.5〜1mm位の幼虫です。サバ、アジ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生しています。寄生している魚介類が死亡し、時間がたつと内臓から筋肉に移動します。この魚介類を生で食べると、アニサキスの幼虫が胃壁、腸壁に刺入し、みぞおちの激しい痛み 悪心、嘔吐を生じます。腸に刺入すると激しい下腹部痛、腹膜炎が生じます。生で、内臓など食べないことと、すぐに内臓取り除いたもの、加熱したもの、十分冷凍したものを食べてください。
症状は内視鏡で除去すると消失しますが、1回に数匹いる場合もあります。^
 
胃のアニサキス       腸のアニサキス





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